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免疫にかかわる栄養と生活習慣【薬剤師監修】

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季節の変わり目や周りで体調を崩す人が増えてくると、店頭で「免疫力が上がるサプリはどれですか?」というご質問をよくいただきます。薬剤師としてお答えすると、少し歯切れの悪い返事になってしまうのですが、これには理由があります。この記事では、免疫にかかわるとされる栄養素と生活習慣について、法律上の表現ルールも踏まえながら、店頭でお伝えしている内容をそのままご紹介します。

「免疫力が上がるサプリ」を薬剤師が断言しない理由

まず前提として、健康食品やサプリメントは医薬品ではありません。医薬品医療機器等法(薬機法)では、医薬品以外の食品について「病気が治る」「感染を予防する」といった効能効果をうたうことが認められていません。つまり、「これを飲めば風邪をひかない」といった説明ができる商品は、そもそも存在しないということになります。

もうひとつ、より実務的な理由があります。「免疫力」という言葉自体が、数値で測れる単一の指標ではないという点です。血圧や血糖値のように「この数値が上がった/下がった」と示せるものではないため、「上がりました」と言い切ること自体が難しいのです。

そのうえで薬剤師がお伝えできるのは、「体の防御にかかわるしくみは、栄養状態や睡眠、ストレスの影響を受けることが知られている」という事実と、「不足しがちな栄養素を補うという考え方」です。特別な何かを足すより、土台を崩さないこと。地味ですが、ここが一番現実的だと考えています。

免疫にかかわるとされる栄養素を整理する

栄養素については、国が定めた「栄養機能食品」という制度があり、一定の基準を満たす場合にかぎって決められた表現で機能を表示できます。ここでは、その公的な表現をベースに整理してみます。逆にいえば、この範囲を超える説明をしている商品広告には、少し慎重になったほうがよいという目安にもなります。

栄養素 公的に認められている表示の例 多く含まれる食品
たんぱく質 (機能表示の対象外)体をつくる主要な成分のひとつ 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
ビタミンA 皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です レバー、うなぎ、にんじん、ほうれん草
ビタミンC 皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用をもつ栄養素です ピーマン、ブロッコリー、キウイ、柑橘類
ビタミンD 腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です 鮭、さんま、しらす、きのこ類
亜鉛 たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です 牡蠣、赤身肉、レバー、ナッツ類
赤血球をつくるのに必要な栄養素です 赤身肉、あさり、小松菜、大豆製品

表を見ていただくと分かるとおり、「皮膚や粘膜の健康維持を助ける」という表現が繰り返し出てきます。粘膜は、外からの異物と最初に接する部分です。そこを健やかに保つ材料が足りているかどうか、という視点で栄養を考えると、無理のない理解になるかと思います。

まず食事から、が現実的な理由

サプリメントは「補助」という位置づけです。食事からとる場合、複数の栄養素が同時に、かつ過剰になりにくい量で入ってくるという利点があります。とくにビタミンAやビタミンDのような脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすく、サプリメントで長期に大量摂取すると過剰摂取の懸念があるとされています。亜鉛も、長期の過剰摂取によって銅の吸収に影響が出る可能性が指摘されています。

「たくさん飲めばそれだけよい」という考え方は、栄養素にはあてはまりません。製品に記載された1日あたりの目安量を守り、複数のサプリメントを併用する場合は成分が重複していないかご確認ください。判断に迷う場合は、お手元の製品を持って薬剤師にご相談いただくのが確実です。

栄養より先に見直したい、生活の土台

店頭で詳しくお話をうかがうと、「サプリの前に、まずここでは」と感じる場面が少なくありません。

  • 睡眠時間:睡眠不足が体の防御機能に影響することは、多くの研究で報告されています。何を足すかより、まず削られている時間を戻せないかを考えます。
  • 食事の欠食:朝食を抜き、昼は麺類だけ、という食生活だと、たんぱく質もビタミンも大きく不足しがちです。まずは各食に手のひら1枚分のたんぱく質源を、とお伝えしています。
  • 過度なダイエット:極端な糖質制限や食事量の削減は、必要な栄養素まで一緒に減らしてしまいます。
  • 慢性的なストレス:ストレス状態が続くことと体調の関係は広く知られています。生活の中で意識的に休む時間をつくることも、立派な対策です。
  • 適度な運動と保温:習慣的な身体活動は全身の健康維持に役立ちます。無理のない範囲で、日常に組み込める形が続きます。

これらは「効く/効かない」の話ではなく、体が本来の働きをするための前提条件です。サプリメントで補うより先に、ここを整えるほうが手応えを感じやすい方が多い印象です。

店頭でよくいただくご質問

Q. 発酵食品や食物繊維はとったほうがいいですか?

ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品、そして野菜や海藻に含まれる食物繊維は、腸内の細菌とのかかわりが研究されている分野です。ただし、一般の食品について「腸内環境が整う」「免疫が上がる」と言い切ることはできません。特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品には、届出された範囲での表示が認められているものがありますので、パッケージの表示をご確認ください。日常の食事の一部として、無理なく続けられる範囲で取り入れていただくのがよいかと思います。

Q. 飲んでいる薬とサプリの飲み合わせは大丈夫?

ここは必ずご相談いただきたい部分です。たとえば、血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)を服用中の方は、ビタミンKを多く含む食品やサプリメントに注意が必要です。また、一部の抗菌薬や骨粗しょう症の薬は、カルシウム・鉄・亜鉛・マグネシウムを含む製品と同時に飲むと吸収が下がることが知られています。健康食品だから安全、とは限りません。お薬手帳とあわせてご相談ください。

Q. 市販のビタミン剤はどうですか?

ドラッグストアで販売されているビタミン剤には、食品ではなく「医薬品(第3類医薬品など)」として承認されているものもあります。これらは添付文書に定められた効能・効果の範囲でお使いいただくものです。ご自身の目的に合っているかどうか、購入前に薬剤師や登録販売者にお尋ねください。

Q. 体調が優れないときはどうすれば?

発熱が続く、息苦しい、水分がとれない、症状が長引くといった場合は、栄養や生活習慣の話ではなく受診の判断が必要です。持病のある方、高齢の方、妊娠中・授乳中の方、小さなお子さんは、とくに早めに医療機関にご相談ください。

まとめ

  • 健康食品やサプリメントに「免疫力が上がる」「病気を予防する」といった効能をうたうことは法律上できず、そう説明する商品広告には慎重になることをおすすめします。
  • たんぱく質、ビタミンA・C・D、亜鉛、鉄などは体の防御にかかわる部分の材料として知られており、まずは食事から過不足なくとることが現実的です。
  • 睡眠・欠食の有無・ストレス・運動といった生活の土台は、何かを足す前に見直したいポイントです。
  • サプリメントは目安量を守り、脂溶性ビタミンや亜鉛の長期大量摂取には注意が必要とされています。
  • 服用中のお薬がある方、症状が続く方は、自己判断せず薬剤師や医師にご相談ください。

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