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【薬剤師が解説】受験本番で発熱、眠くならない市販薬

【薬剤師が解説】受験本番で発熱、眠くならない市販薬 未分類

「明日が本番なのに、熱が出てしまった」——受験シーズンが近づくと、薬局のカウンターでいちばん切実な顔で相談されるのがこの言葉です。ご本人よりも、付き添いの保護者の方の手が震えていることも少なくありません。

この時期の発熱がご本人とご家族にとってどれほど重いものか、カウンターに立っていると毎年痛いほど伝わってきます。だからこそ、あわてて薬だけを買って帰るのではなく、順番を間違えないでほしいと思っています。ここでは「眠くならない市販薬をください」と言われたとき、私が店頭で必ずお伝えしている内容を整理します。

まず確認したいこと——発熱=すぐ市販薬、ではありません

市販薬の話に入る前に、どうしても先に置かせてください。発熱の原因はさまざまで、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などが背景にあることもあります。この場合は市販薬で熱を一時的に下げても原因そのものは変わらず、周囲への影響も出てきます。

特に、38℃以上の発熱、強い倦怠感、息苦しさ、水分がとれない、意識がぼんやりする——こうした症状があるときは、市販薬で乗り切ろうとせず、できるだけ早く医療機関を受診してください。試験当日の朝であっても、受験先や学校に連絡すれば別室受験や追試験の案内を受けられる場合があります。大学入学共通テストにも追試験の制度があります。「薬で無理やり受けに行く」以外の選択肢が用意されていることを、まず思い出してほしいのです。

そのうえで、「受診はしたが試験までは時間がある」「軽い発熱で、頭の重さだけをやわらげたい」という場面で市販薬が選択肢になります。

「眠くなる薬」の正体は、かぜ薬に入っている“別の成分”

ここが、店頭でいちばん誤解されているポイントです。

「解熱鎮痛薬は眠くなる」と思われている方が多いのですが、実際に眠気の原因となりやすいのは、総合感冒薬(いわゆる「かぜ薬」)に一緒に配合されている抗ヒスタミン成分や鎮静成分、せき止め成分のほうだとされています。総合感冒薬は、熱・鼻水・くしゃみ・せき・のどの痛みをまとめてカバーするために、複数の成分が組み合わされているためです。

つまり、「熱と頭の重さだけをどうにかしたい」のであれば、あれこれ入った総合感冒薬ではなく、解熱鎮痛成分だけの単剤を選ぶほうが、眠気のリスクを減らしやすい、という考え方になります。パッケージの「かぜ」という文字ではなく、裏面の成分表示を見てください。

成分ごとの特徴を整理すると

成分(代表例) 主な役割 眠気との関係 年齢のめやす(OTC)
アセトアミノフェン 解熱・鎮痛 眠気を目的とした成分ではありません 小児用の製品もあり
イブプロフェン 解熱・鎮痛 同上 一般に15歳以上
ロキソプロフェンナトリウム 解熱・鎮痛 同上 一般に15歳以上
クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン成分) 鼻水・くしゃみ 眠気が現れることがあります 製品により異なります
ジヒドロコデインリン酸塩など(せき止め成分) せき 眠気が現れることがあります 12歳未満は使用できません
ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素(鎮静成分) 鎮痛成分の働きを補助 眠気が現れることがあります 製品により異なります

表のとおり、避けたい成分は下3つです。特に受験生が手に取りやすい「頭痛薬」にも鎮静成分が入っているタイプがありますので、成分表示の確認をおすすめします。判断に迷う場合は、薬剤師や登録販売者にお声がけください。

店頭でよく聞かれる質問

Q. 中学受験・高校受験の子どもにも同じものを使えますか

いいえ、年齢の制限が異なります。イブプロフェンやロキソプロフェンを含むOTCの解熱鎮痛薬は、一般に15歳未満は使用できません。またアスピリン(アセチルサリチル酸)などのサリチル酸系は、小児では避けることとされています。15歳未満のお子さんには、年齢に対応したアセトアミノフェン製剤が選択肢になることが多く、体重や年齢に応じた用量を守る必要があります。必ず薬剤師にご相談ください。

Q. カフェイン入りを選べば眠気対策になりますか

解熱鎮痛薬に配合されている無水カフェインは、鎮痛成分の働きを助ける目的で加えられているもので、眠気覚まし目的で量を増やして飲むものではありません。コーヒーやエナジードリンクと重なると、動悸や胃の不快感につながることもあります。当日は普段どおりの飲み方が無難です。

Q. 空腹で試験に向かうので、朝ごはんは抜きでも飲めますか

イブプロフェンやロキソプロフェンなどは胃への負担が問題になることがあり、空腹時の服用は避けるよう添付文書に記載されています。少量でも何か口に入れてからにしてください。アセトアミノフェンも、体調や併用薬によって注意点が変わります。

Q. 熱が下がれば「治った」と考えていいですか

解熱鎮痛薬は熱や痛みをやわらげるためのもので、原因そのものを取り除くものではありません。薬の効果が切れれば再び熱が上がることもあります。試験が終わったら、必ず受診の判断をしてください。

当日の動き方について

薬の話と同じくらい大事なことをひとつ。「熱が出たときにどう動くか」を、元気なうちに決めておいてください。

  • 受験先の連絡先と、別室受験・追試験の規定を事前にメモしておく
  • かかりつけ医と、休日・早朝に対応している医療機関を調べておく
  • 体温計、常用薬、お薬手帳、経口補水液を持ち物リストに入れておく
  • 普段飲んだことのない薬を本番当日に初めて試さない(体質に合うかが分からないため)

最後の項目は特にお伝えしたいところです。当日に初めて飲む薬は、眠気や胃の不快感が出たときに逃げ場がありません。心配な方は、受験シーズンに入る前に薬剤師に相談し、自分に合う一箱を決めておくと安心です。

最後にひとつだけ。熱が出たことは、努力が足りなかったからではありません。体調が整わない日に無理をして受けるより、制度を使って万全で受けるほうが、結果として力を出せることもあります。判断に迷ったら、ひとりで抱えず、保護者や学校、そして私たちのような身近な医療者に声をかけてください。

まとめ

  • 発熱時はまず受診の検討を。インフルエンザ等の可能性があり、別室受験や追試験の制度も確認してください。
  • 眠気の原因になりやすいのは解熱鎮痛成分ではなく、総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン成分・鎮静成分・せき止め成分だとされています。
  • 熱と頭の重さだけが気になるなら、成分表示を見て解熱鎮痛薬の単剤を選ぶという考え方があります。
  • 15歳未満はイブプロフェン・ロキソプロフェンを含むOTCは使用できません。年齢に合った製品を薬剤師にご相談ください。
  • 本番当日に初めての薬を試さない。持ち物と連絡先は、元気なうちに準備を。

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