学校生活で子どもがトラブルを起こしてしまう事はよくありますよね。
例えば、
- 友達同士のケンカ
- 友達に嫌な思いをさせてしまう
- 誰かのものを壊してしまう など
これらの問題行動が起きてしまった時、皆様はどのように対応されているでしょうか?
結構な人が「なんでそんなことをしちゃったの?」と子どもに「なぜ?」と理由を尋ねているような印象を受けます。
ですが、問題行動を起こしてしまうようなお子さんの多くはこの「なぜ?」がうまく伝えられません。
先生が何度も尋ねるほど、実は子どもを追い込んでしまっているのです。
また、問題行動があった場合に、これも結構な人がすぐに「◯◯が良くなかった」と指導しています。
正論であり、その通りなのですが、指導された側の子どもは心から納得いってないことが多いでしょう。
今回は、問題行動が起きてしまった場合に、
子どもが伝えやすく
次の機会に改善しやすい
3つの「ど」の対応についてご紹介いたします。
この記事を読めば、問題行動を起こしてしまったお子さんの気持ちも救えますし、何より対応する先生方にとって対応の「型」を学べるため、精神衛生上の安定を手に入れることができると思っています。
- 1「ど」うしたの?
- 2「ど」うしたかったの?
- 3これからは「ど」うすればいいと思う?
もちろん、話し合いに多少の時間は必要なので、じっくりと時間を取ることが難しい場面もありますが、私はおおむね上の3つの言葉で対応しています
非常に有効な声掛けなので、今回ご紹介いたします。
目次
1「ど」うしたの?
トラブルが起きたときに早急に対応する事はとても大事なことですが、急ぎすぎるがあまり、乱雑に対応するのは得策と言えません。
つまり、強い口調で「なんでそんなことしたの!?」と問い正すやり方は、往々にして失敗の結果になりやすいということです。
自戒を込めて、述べました。(私もよく失敗します、、、)
「どうしたの?」と尋ねると、子どもが落ち着いていれば話してくれます。
この「どうしたの?」は相手を追い詰めない問い方です。
これが「なんでこんなことしたの?」と尋ねると、取り調べのようになり、子どもは素直に話をしてくれないことが多くなります。
また、「どうしたの?」は相手側に寄り添った問い方です。
子どもに「自分の味方だ」と思ってもらえると、話をしてもらいやすくなる利点があります。
2「ど」うしたかったの?
次に、「どうしたかったの?」と尋ねることで、子どもの欲求を知ることができます。
問題行動の多くは、「正しい行動を知らない」や「正しい行動を間違えて覚えてしまっている」ことに起因します。
例えば、友達に暴力行為をしてしまった子どもに
「どうしたかったの?」と優しい語り口で問いかけます。
すると、「◯◯くんが遊んでくれなかった」「やりたかったのに貸してくれなかった」とと自分の欲求を伝えてくれます。
これも上記と同様ですが、「なんでそんなことしたの?」と尋ねると、取り調べのように問い詰める形になり、なかなか教えてくれません。
それに対して、「どうしたかったの?」と欲求を尋ねると素直に答えてくれることが多いです。
認めつつも、問題行動ですので、今後に向けた指導していきたいところです。
そこで、もう一つ尋ねましょう。
「あなたの気持ちはよーくわかったよ」(認めつつ)
「それって良かったこと?良くなかったこと?」
行動の善悪を尋ねます。
判断はまずその子どもに任せます。
多くの場合、「良くなかった」「悪かった」と答えるでしょう。
最後の項目(手順)に進みます。
3これからは「ど」うすればいいと思う?
ここまでの過程で問題行動を起こした子どもには、
- ・自分の欲求
- ・自分の意図
をしっかりと聞き出し、確認してきました。
最後に行う事は、今後に向けての指導(展望)です。
つまり、「次」「未来」にはどうすればいいかを尋ねます。
「じゃあ、これからはどうすればいいと思う?」
多くの場合、望ましい行動を言えます。
「ぶたない。」
「嫌なことを言わない。」
「壊さない。」
読んでわかる通り、全て「〜しない」という否定の言葉です。
「廊下は走りません!」と同様に、「どうすればいいのか」という行動を示していません。
行動まで言及できていなかった場合、ここは先生の腕の見せ所です。
「どんなことすればお互いに気持ちよく過ごせるかな?」
「ぶたない代わりに何かできないかな?」
「触りたかった時はどうするといい?」
こういったやりとりをしても言葉にするのが難しいお子さんもいます。
その場合は、先生がはっきりと「こういう時は◯◯するといいんだよ。」と教えます。
望ましい行動は教えてもらわないとわからないお子さんもいます。
先生側から指導をせずに、子どもに言わせた方がいいのには理由があります。
「自分で言った約束は守りやすくなる」ということは、心理学では 自己言及効果 と呼ばれる現象の一つです。自己言及効果とは、自分のことに関係する情報や言葉を記憶しやすくする効果のことです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E8%A8%80%E5%8F%8A
次への行動に繋げていくのであれば、子ども自身に望ましい行動を口に出させることが良いと考えます。
さいごに これで終わりではなく次が大切
先生と子どもの関係はその時だけの関係ではなく、多くは一年間以上続く関係です。
また、子ども自身はこの先も未来があり成長していく存在です。
問題行動を起こし、反省もした。
それで終わりでしょうか?違いますね。
その子との関係、その子の未来はこれからもまだまだ続きます。
だから、先生は「次」の機会は「前進したところ」に視点を合わせて褒めてあげたら最高です。
大きく変わってなくて大丈夫です。人間そんなにすぐ変われませんから。(笑)
「ちょっと」でも前進していたら、褒めたり声をかけたりしましょう。
「さっき、言葉づかい、穏やかになってたね。聞いてて嬉しくなったよ。」
「図工の作品見る時にちゃんと友達に断ってたね。すっごく素敵!」
「ぶっちゃったけど、この前よりも弱くやってたね。我慢した?」
まとめ 対応に大事な原則 3つの「ど」
おさらいです。
1「ど」うしたの?→状況を尋ねる
2「ど」うしたかったの?→意図を尋ねる
3これからは「ど」うすればいいと思う?→望ましい行動を尋ねる
よく使いがちな「なぜ?」よりも「ど」の方がずっと効果的です。
子ども目線でも優しく感じられる対応になります。
ぜひ取り入れてみてください!